裁判について
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裁判手続きのうち、お金の貸し借りや損害賠償など民事上の紛争を扱う民事訴訟では、人または会社が紛争の当事者となって、それぞれの主張とそれに伴う証拠を裁判所に提出し、明らかになった事実を前提として法律を適用し、当事者間の権利関係が判断されます。
司法書士は、皆さんに代わってこれら裁判所に提出する様々な書類を作成し、訴訟手続を支援します。また、簡易裁判所の訴訟代理権をもつ司法書士は、民事裁判での請求額が140万円以下であれば、本人の代理人として訴訟手続きや裁判外の和解交渉なども行うことができます。
Q&A
- Q 裁判をするにはどうすればよいか?
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A 民事裁判は、争っている一方の当事者が訴状を裁判所へ提出することで始まります。訴状には、自分が相手方に求めることとその事実関係を記載し、提出された訴状は裁判所から相手方へ送られます。相手方へは訴状と第1回目の裁判の期日が指定された呼出状が送付されます。
事案に応じて複数回の期日が設けられ、当事者間の争いがどの点であるか整理し、主張立証を重ねて判決が言い渡されます。
- Q 通常の民事裁判の他にどのような手続きがあるか?
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A 次のような手続きがあります。
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「支払督促」
支払督促は、金銭の支払い、有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に限られる申立で、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に申し立てる手続きです。
書類審査のみで通常訴訟よりも簡易迅速に行うことができます。ただし、相手方から支払督促の内容について異議が出されると通常訴訟へ移行します。 -
「民事調停」
民事調停は、裁判所において当事者が話し合い、お互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。調停手続きでは、市民から選ばれた調停委員が裁判官と共に解決に当たります。
民事調停は、あくまでも当事者同士が話し合い、お互いが譲り合って解決することを目的としていますので、必ずしも法律にしばられず、実情に合った円満な解決を図ることができます。 -
「少額訴訟」
60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、利用することができる手続きで、1回の期日で審理を終えて判決することを原則とする特別な訴訟手続きです。即時解決のために証拠書類や証人は、審理の日にすぐに調べることができるものに限られます。
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「支払督促」
- Q 裁判所から訴状が届いたが、どうすればよいか?
- A 裁判所から訴状が届いたら、同封の書類をよく確認しましょう。訴状に記載されている争いの内容、裁判所への出頭期日、答弁書の提出期限などを確認します。何もせずにそのまま放っておくと、相手方の言い分について争わないものとみなされ、相手方の主張どおりの判決が言い渡されます。仮に、訴状の内容が事実とまったく違っていたとしても相手の主張が認められてしまいます。裁判所から訴状が届いたら、定められた期間内に必ず答弁書を提出すべきです。
- Q 内容証明郵便が届いたが、どうすればよいか?
- A 内容証明郵便とは、ある特定の郵便物について、いつ、誰から誰へ、どのような内容のものが差し出されたかということを、日本郵便株式会社が謄本により証明する制度です。証明するものは文書の存在とその内容であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。内容証明郵便は、訴訟等、法律手続の前段階で利用されることも多い手続きのため、重大な内容が書かれている可能性がありますから十分に確認してください。
- Q 裁判をするためのお金がないが、どうすればよいか?
- A 裁判をするには、弁護士や司法書士の専門家に依頼しなければならない印象を受けるかもしれませんが、専門家に依頼しなくても本人が自分自身で訴訟を遂行する本人訴訟という手段もあります。また、専門家に依頼しなければ問題の解決ができそうにないが、経済的に余裕がないという場合には、法テラス(日本司法支援センター)の「民事法律扶助制度(自分では弁護士や司法書士の報酬や裁判の費用を支払うことが困難な方のために、公的な資金で費用を一時立替払いする制度)」を利用することもできます。